2015-06-05 シロアリ
安曇野市 蕎麦打ち体験施設 大黒柱調査
今日は安曇野市穂高にあるそば打ち体験施設の欅で出来た8寸角の大黒柱がシロアリに加害されてしまった物件の柱の劣化調査に行ってまいりました。
もともと他社さんで2年程前に大黒柱の被害に対するシロアリ駆除を行われていたようですが、今年になって別の箇所から大量の羽アリが発生。それにつきましては、毒エサを設置してシロアリコロニーの壊滅を図る「ベイト工法」でステーションを設置して、来月点検に伺うことにしています。
初回の調査の際に、市役所ご担当者様と設計事務所様から「この大黒柱はどの程度被害があるのか」といった疑問をお寄せ頂きました。見た目には結構ひどく、中に指を入れると結構入ってしまうほど加害されています。全体は鉄骨造で蟻害による被害は余り心配いりませんが、大黒柱だけは欅・木材で構造を支えており、心配されるのは当然です。しかも屋根を支える棟木を受けており、二方向から桁も支えていて、柱を取り替えたり根接ぎしたりすることは難しそうです。誰も保有する柱の耐力について客観的な評価ができない・・・ その時にご提案したのが「レジストグラフ」です。
前回も、須坂市の伝統建築物調査の際にこのレジストグラフをご紹介しました。http://www.lumbertech.jp/blog/1175.html
この機械は私が所属します日本木材保存協会で保有しています。日本で数台しか無いレアな測定器です。機械の先端には3mm程の錐が付いていて、その錐を測定したい木材に穿孔していきます。30cm程の材料の内部の健全性を測れます。錐は回転しながら木材の内部を進んでいきますが、その錐が穴を開ける際の回転抵抗と錐が進む深さ(深度)を機械上部のグラフ用紙にグラフ化出来ます。シロアリや腐れの被害が大きい所は抵抗が少ないためグラフは底辺を進み、木材の健全部分は抵抗が大きい為グラフがぐんぐん振れます。私は日本木材保存協会の木材保存士と木材劣化診断士(長野県内には私しか資格を持っていません・・)という超レアな資格を保有しており、有資格者は協会から有償で機械をレンタルしてくれます。
今回の調査では、内部の加害は40%程度認められたものの過半以上の60%は健全であることが分かりました。また震災後の橋梁の補修などに使われる「アラミド繊維」と特殊樹脂による補修も選択できる可能性もありますので、大規模に解体しなくても良さそうです。
大切な公共建築物、しかも観光資源であり地域の皆様からも愛されて多く利用されている施設。大切に長持ちして安全にお使い頂けるように、客観性・信頼性をもって持てる知識と技術をご提供し続けてまいりたいと思っております。