スタッフからの現場だより

2014-08-19 シロアリ

須坂市 旧・小田切家 伝統建築物 内部腐朽調査

じゃじゃーん!

秘密兵器を入手しました~

レジストグラフ

レジストグラフ

こちらがレジストグラフ(持ってるのは向井くんです。こいつが秘密兵器ではありません。たぶん・・・)

ピロディン

ピロディン

こちらがピロディンという機械です。

当社が加盟してますNPO信州伝統的建造物保存技術研究会(信伝研)から依頼を受けまして、須坂市に有ります「旧・小田切家」の蟻害腐朽検査を行いました。こちらも、長野県しろあり対策協会としての社会貢献活動の一貫です(当社は協会の理事を務めています)。蟻害腐朽検査は1次診断で目視・触診が中心。見えて触れる範囲で白蟻の被害や腐れの有無などを調査し報告書を発行します。しかし厄介なのは「内部腐朽」といって、木材の表面は健全そうに見えても、「ホゾ」など仕口という木材を加工し木材同士が接合されている部分は水が入りやすく、内部の見えない所が不健全である場合です。今回の須坂市の旧・小田切家も長年の雨水の差し込みで、柱に差し込まれている梁の仕口や通し柱と言った重要な構造材が腐朽の疑いがあるものの壊してみなければ分からないという状況でした。

そこで私 丸山が資格取得をしております日本木材保存協会の「木材劣化診断士」を活かして、協会からレジストグラフとピロディンをお借りし調査することになりました。木材劣化診断士はとってもマニアな資格で、主に木造公共物(公共施設や温泉施設、学校、木橋)などの木材劣化を診断するために養成された資格です。長野県内でも数人しか持ってないのでは・・・

レジストグラフは海外製で、キリが付いてるドリルに記録紙がセットされています。キリの穴を開ける強さとキリの進んでいく深さを記録紙に留めることが出来ます。健全な材の部分はキリが開ける力を必要としますが、不健全な部分(蟻害や腐朽がある部分)はキリの開ける力を必要としないので、材の表面からキリが到達する深さまでの力の強弱を折れ線グラフで記録していきます。この機器のメリットは精密な診断ができるところですが、デメリットは検査スピードが遅く、材に穴が空いてしまうことです。

ピロディンは内部にバネを有した針が仕込まれており、材の表面から針を一定の力で押し出すことで、針の深さに寄って材の健全性を探るものです。メリットは検査スピードが早い点。デメリットは材に穴が開くのと、材の表面が健全で内部が腐朽している場合には判断を誤る可能性があることです(内部腐朽があるにも関わらず針が差し込まれない)。

長野県しろあり対策協会の一緒に活動している理事と共に、今週8月22日に調査予定です。またご報告できればと思います!

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